日本人の平均寿命は、毎年のように高まっています。最近の相続では、意思表示することができない配偶者が存在するケースが増えています。

先日相談を受けたケースも、被相続人は92歳の男性で、相続開始の直前まで意識ははっきりしていました。

配偶者の妻も91歳なのですが、認知症が進行していて、自分の子の認識もできない状態のようです。
 
相続が開始すると、被相続人名義の財産は相続により相続人の財産となるわけですが、遺産分割しない限り共同相続人の共有状態になりますから、他の相続人の同意が得られない限り何もできません。

遺産分割協議をするためには行為能力が必要ですから、このような場合には家庭裁判所に特別代理人を選任してもらう必要があります。
 
相続が開始した場合には、様々な手続きが必要となりますが、税務の手続きについては、期限が定められています。

所得税の申告は相続開始から4か月以内、相続税の申告は10か月以内となっています。

共同相続人の中に、未成年者や認知症などで行為能力が制限されている者がいる場合には、特別代理人等の選任に時間がかかるためにその期限内に、遺産分割して、納税まで済ますことが難しい場合があります。
 
今回の場合は、相続開始して私の事務所に相談に来るまで、すでに7か月が経過しているため、遺産分割をして財産を処分して相続税を期限内に納税することが困難なケースと思われます。

龍前税理士事務所 税理士 龍前篤司