相続が発生した場合、相続人間で遺産をどう分けるかの話合いをしますが、話合いがまとまらない場合、家庭裁判所で調停を行うことになります。

ところで、遺産の中で大きな割合を占めるのは土地建物ですが、土地建物の価格が分からないのでは話合いは進みません。調停を行う場合、土地建物の評価はどのようになるのでしょうか。

原則は、時価ということになります。ただ、時価といってもいくらなのか分かりませんから、裁判所が選んだ不動産鑑定士の方が価格の鑑定をすることになります。

これが原則ですが、鑑定をするとなると不動産鑑定士の方に支払う費用を、相続人が裁判所に支払わなければなりません。

この鑑定費は、50坪程度の土地を鑑定するだけでも数十万円かかりますし、土地建物が多いと100万円を超えることがあります。

そこで、このような費用の発生を避けるために、土地については、固定資産税評価額か路線価、建物については固定資産税評価額を、土地建物の評価額として、遺産分割の話合いをする場合が非常に多いです(ただし、固定資産税評価額あるいは路線価で話合いを進める場合は、相続人全員の同意がなければなりません)。

※固定資産税評価額というのは、固定資産税を取るために市町村が定めるもので、路線価というのは、相続税・贈与税を取るために国税庁が定めるものです。

家庭裁判所に行けば、上記のようになる可能性が高いのですから、相続人同士で話し合いをする場合も、固定資産税評価額あるいは路線価をもとにするとよいと思います。