消滅都市という言葉は元岩手県知事の増田寛也氏が最初に使った言葉です。

消滅都市というのは「2040年における出産可能な20歳から39歳までの女性が2010年に比べて半数以下になってしまう」都市のうち、人口が1万人に満たなくなる地方自治体はもはや自治体サービスを維持できないことからネーミングされたようです。

将来の人口の動向はかなり高い精度で予測することができます。

本格的な人口減少時代に突入した現在、たとえ出生率が大幅に向上したとしても、労働生産人口を増やすためには長い年月が必要です。

団塊の世代が高齢化している現在、生産年齢人口が急激に減少し始めています。

生産年齢人口というのは経済用語の一つで、国内で行われている生産活動に就いている中核の労働力となる年齢の人口のことで、15歳から65歳未満の人口のことを指します。

日本の総人口が減少し始めたのは2010年頃からですが、生産年齢人口は1995年から下がり続けています。

1995年には8717万人いた生産年齢人口はすでに7700万人を割り込んでいるのですから、なんと1000万人以上減少したことになります。

最も生産的な人口が減少するのですから、日本のGDPを上げようとしてもかなりの無理があります。

経団連が2012年に公表した2050年のシミュレーションによると日本のGDPは世界第9位に後退、英国「エコノミスト」に掲載された「2050年の世界」では、日本は世界第10位と予測されています。

かなり悲観的なデータですが、人口から推計すれば日本の経済規模が縮小するのは当然です。

問題は私たちの生活です。特に不動産の価値は人口増加時代とは全く異なっています。

1990年代から地方の土地は全く上がらなくなってしまいました。

先祖伝来の不動産をどう防衛するかは頭の痛い課題です。

「消滅都市」の前に、「消滅不動産」があります。

今後の財産防衛は、今までの経験則だけでは通用しない時代が到来しました。

龍前税理士事務所 税理士 龍前篤司