先日、ある相続で、亡くなられたお父様が時計や絵画をかなり収集していたので、どうしたらいいのかという相談を受けました。訪問して実際にその現物を見てみると、高級腕時計が数十本、絵画が数点、日本刀が4振り、壺や銅像が数点ありました。
相続税の申告にあたって、このような書画骨董や家財をどうするのかということがよく問題になります。
被相続人はたぶん相当多額のお金を使って収集したのでしょうが、書画骨董の収集を趣味にしている人にとっては、価値があるものでも、興味のない人にとってはあまり価値を感じないものです。
相続税法第22条は、「財産の価額は、当該財産の当該財産の取得時における時価による。」としていますので、書画骨董も原則としてその「時価」で相続税を課税されることになります。
しかし、一口に「時価」といっても様々であり、特に書画骨董を骨董屋さんに引き取ってもらうとするととても購入時の値段では引き取ってくれません。
国営庁が発遣している財産評価基本通達では、書画骨董の評価について「売買実例額、精通者意見価格等を参酌して評価する」としていますが、売買実例の収集は困難であるし、「精通者意見価格」も様々なのです。
最終的に家財の価額は、エイヤ!とまとめて「家財一式300万」とか申告することになります。一つ一つ評価していたらきりがないし、細かく申告すると税務調査の時に過小評価だとか申告漏れだとかになりやすいからです。
相続税の課税対象財産は、とても範囲が広く動産や立木について細かく評価していたらきりがありません。
土地や預貯金等重要な財産については、細かく厳密に評価し、書画骨董等の動産や立木等については、あまり厳密な評価をしようとしないことも必要です。
ただし、金地金のように「時価が明確なもの」については、しっかり評価しなければなりません。