Aさんが亡くなって相続が発生したものの、妻と息子、娘は、感情的ないさかいもあって遺産分割の話合いができず、そのまま、さらに何代にも渡って、遺産分割をしない状態が続きました。

その結果、今では、Aさんの相続人は、孫、ひ孫などで、30人以上にもなってしまっています。

Aさんの遺産は、土地なのですが、この土地は、現在では、Aさんの孫であるBさんが占有し、自宅の敷地として使っています。

このような場合、Bさんが、自分の使っている土地を自分の名義にしようと思えば、Aさんの30以上の相続人すべての判をもらわなければなりません。

しかし、Aさんにとって、この30人はほとんど知らない人ばかりなので、判をもらうことなど不可能です。

このような場合、Bさんが自分ひとりで土地を相続したと思って、10年あるいは20年間、土地を使い続けた場合、土地を時効取得することが可能です。

具体的には、時効取得を主張して、Aさんの相続人全員に対し、土地の名義をBさんにするよう訴訟を起こします。

訴訟を起こす前に、「訴訟を起こしますが、この土地について所有権を主張するつもりがないのであれば、法廷に出席する必要はありません」という手紙を出しておけば、法廷に出てきてまで、土地の所有権を争う相続人はあまりいないでしょう。

上記のような場合は、時効取得を主張して訴訟を起こすことが一番の早道かもしれません。