Jさんは、さいたま市内にお住まいの会社員。そんなJさんの元へ、ある日1通の督促状が届きました。
差出人は札幌市内のアパート管理会社で、Jさんの父親が亡くなったので、滞納賃料を相続人であるJさんに支払ってもらいたいという内容の文面でした。
Jさんはどうしていいか分からず、この督促状を持って当事務所に相談に来られました。
お話を伺ってみると、Jさんとお父様はある出来事をきっかけに親子の縁を切った状態になり、もう25年以上も音信不通の間柄であったということでした。
Jさんは一人っ子で、お母様は既に亡くなっていましたので、Jさんがお父様の唯一の相続人です。
お父様は1か月以上前に亡くなっていたのですが、Jさんはその事実を知らず、例のアパート管理会社からの督促状によって初めてその死を知ったのでした。
Jさんは、「自分はこれまで真面目に働いてきてある程度の蓄えもあるし、数年後には幾ばくかの退職金も入ってくるので、生活には困っていません」、「25年以上前に親子の縁を切ったのには、親父の借金が絡んでいるんです。家賃も滞納するぐらいの人間だから、他にも借金がたくさんあるじゃないか心配です」ということでしたので、相続放棄をすることにしました。
亡くなったお父様の最後の住所地が札幌市内であったので、札幌家庭裁判所に必要書類を提出する必要があり、かつ、お父様の除籍謄本などを札幌市役所に発行してもらう必要があったのですが、Jさんは仕事が忙しく、休みを取ってわざわざ札幌まで出向くのは無理がありました。
この点、弁護士にお任せいただければ、遠隔地の役所から必要書類を取り寄せることもスムースにできますし、遠隔地の裁判所への申立も郵送にて不備なく行えます。
今回のケースもそのようにして、Jさんには1度も札幌までご足労いただくことなく、無事相続放棄の手続きを終えることができました。